あしあとモンチッチーズ

トーマスに関してなんかいろいろ好き勝手書いてます

Go!Go!地球まるごと超決戦!摩訶不思議アドベンチャー -STEPNEY-

まず謝罪をさせてください。シャザイ!シャザムみてーに言っとる場合か。

 

映画めっちゃ面白かったです――――――!

掌エンドレスターニング!!!!クルクルクルー!!!!

 

 

単純に私がロードムービーを好きなだけなのかもしれないんですが、想像以上に丁寧につくられた作品でした。鉄道的リアリティは犠牲になってしまった感は否めないが、上映用エンターテインメントとして考えると返ってそれが活きたのかもしれません。鉄道描写が多少おしゃかになろうともすごくしっかりした異国情緒が描かれているため、完全にリアリティを捨てたわけではないのでご安心を。要はそこですしね。あくまで鉄道要素は余った時間でどこまで詰めれるかなおまけ要素みたいなとこはありますしね。

 

 以下ネタバレヒューイルーイ注意。

 

一見世界一周・異文化お勉強がテーマのように思えますが実はそれはスパイスに過ぎないと思っていただきたい。とにかくこの映画は「」をすることに重きをおいてるんですよ。旅に必要なもの!ひとつ!「目的」!ふたつ!「仲間」!みっつ!「道中起こるトラブル」!よっつ!弱気は見せないで!五ついつでも猛稽古!天童よしみの「大ちゃん数え唄」はいいから。そして四つ目以降2番になるからわかる人少ねえよ。あと「出会い」もいりますね。いや歌ネタ入れたくてわざと抜かしたんだろが。今回はそれらの要素全部入ってます。ほんとに徹底したロードムービーが描かれてるんです。異文化お勉強映画じゃなかったんだ…。一応異文化お勉強もするけどさ!前作も旅をする映画ではあったけどただ見知らぬ土地に来てその一定区間を回っただけということを踏まえれば「冒険」と言った方が相応しいような気がします。サスペンス活劇的な。結局旅の途中何も見れてないですしね。今回の旅はどちらかというと「旅行」の感覚。まあイージーライダー的なのを想像してください。それも違う気がするぞー。映画そんな詳しくないねん!勘弁してくれ!

 

目的は世界を一周すること。一応ただで走るわけにはいかないので各大陸で仕事をもらって走るんですが、そのサブミッションが次の行先を具体的に提示してるので視聴者にもわかりやすい。大きなゴールだけではただ漠然としてますからね。ゲームと一緒ですよ。小さな目的を提示する、それを果たせばまた次の小さな目的の提示、それを積み重ねた先に大きなゴールがある。旅の公式です。これを機関車視点で自然に描けてるのがほんとに素晴らしい。いや「仕事」を必要とする機関車だから自然に描けたのか?何はともあれ自由を求めて旅に出たトーマスが結局仕事しなきゃならないという構造がアイロニーで面白いですね。

展開の進みをスムーズにするという点でとても便利な挿入歌ですが、今回の挿入歌は一味違う!前作では味を占めたように歌のごり押しが激しかったのですが、今回は異国が舞台ということもあり、歌への導入が自然になされていたのが高評価ポイントです。歌は万国共通だぜ。それとどの歌も各キャラの性格・心情描写程度に抑えられてたのも好印象。各キャラの個性、差異を短い時間で丁寧に描くにはうってつけの方法ではなかろうか。この程よい歌の量によって展開のテンポの良さが保たれていたと思います。あと比嘉さんすごい上手くなってない?? ISSAはこれでCD出せ。

 

そして特筆すべきはキャラクター描写の徹底ぶり!作中メインになるのはご存知トーマスとエース、ニアの3台です。後ろ2台は今作が初登場のキャラクターでして、お互い対照的な考えを持っています。エースは「自由」を尊ぶラリーカー。なんで機関車のアニメで自動車が出しゃばんねんと思いましたが、機関車と違い軌道に縛られていないのでこの性格にはもってこいの車選ですね。お見事!ただ冒頭で作者に害を成そうとしたのにはなんでだ。話戻します。彼は自由気ままをモットーとし、友達は余計なものと感じています。そのため序盤でエースの意思に賛同してレース会場までついてきたトーマスが困って(※線路が無いのでレースに出れない)いようがお構いなくほったらかし、マスを置いてっちゃいます。ほーんとずっと自分のための行動しかしません。言ってしまえば自己中心的な性格ですが、これは彼が真に自由を理解しているからこその振舞でしょう。自由に行動し続ける、即ち「独り」であり続けることであり、だからこそ彼にとって友情はその障害にしか思えなかったのでしょう。意地悪なわけではなくモットーに忠実なわけです。そしてニアは「友情」を大事にする蒸気機関車。先ほどエースは独りを選び続けるのに対し彼女は「他人と繋がること」を選んでいきます。だから誰に対しても挨拶をするし、見知らぬ誰かにも手を差し伸べれる。かつ彼女は作中何度も「一人ではない」ことを度々強調していく。徹底されたアンチエースです。言い方よ。まあこの一人ではない云々にはまた別の意味が隠されてるんですがそれは劇場で。そしてその間を揺れ動くトーマス。彼は「世界を一周した最初の蒸気機関車」の称号を得るため、又はエースの意思に憧れ賛同し彼と共に自由を追い求めて旅に出ます。「エースと共に自由を追い求める」という時点で早速先ほど申したエースの行動理念と矛盾しています。更に言えばマス公とエースでは「友人」の解釈も異なっています。だからマスもエースと同行するうちに段々とこの食い違いに気がつき出し、終盤で仲違いのような形で別れてしまいます。でも、エース的にはそれでよかったんじゃない?…そう思うじゃん?…違うんだなあ…エースは戸惑いだすんですよ…。思えば序盤と全く逆の展開なんですね。序盤のマスがエースに置いてかれる展開とは。ついに自分ひとりの意思(誰にも影響されていないという意味では自由)で旅立ったトーマス、「レースが始まる」ということで他のレーシングカー達に羽交い締めにされて連れていかれる(=不自由になった)エース。形としてはトーマスがエースを置いていったことになります。自由気ままとは言ったものの、その時の彼はどこに気が向いていたのか。それは誰にもわかるまい。彼の改心の描き方があからさまなではなく仄めかす程度にされたのが評価のポイント。視聴者に想像の余地があるって素晴らしいことですよね。オチの事も言ってますよ。多分ここ数年で一番好きな終わり方です。

そしてニアも大変考えさせられるキャラです。あんなにも友情・協力の大切さを説いていて実は… あっほんとに核心に迫るネタバレしますよ!いいですね!引き返すなら今の内ですよ!

 

 

実は彼女が一番「独り」だったというね…。最後の最後で突如明かされる彼女の出自、「所属していた鉄道が無い」という事実…。ちょっと突然にブッ込まれたので「え?マスと旅している間にあの鉄道なくなったの??」と勘違いしてしまいましたが最初から無所属だったわけですね。ですよね!??思えば伏線もそこそこ仕込まれてるので再度見てみると違う印象を抱くかもしれませんね。2度楽しめる映画。1度目はマスとエースのお話、2度目はニアのお話。意外と楽しめますよね、マス映画は。走れ!も見る度発見あるし。一度見てこの記事を読んでる皆さまも、見てないけど何となくここまで読んじゃった皆さまも、是非劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。見れば見るほどグレートなディスカバリーがありますよ…いやミステリーマウンテンで〆るの??

 

 

おまけ:唯一の不満点。個人的にヨーロッパバッサリ省略とかは別にいっかって感じなんですが、ティドマスにエドワード置くなよおい。

 

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これは自分用。

 

補足)映画は傑作でしたが現在Eテレビで放映中の本編に関しては一切言及しておりませんのでその辺はき違えてはいけませんよ。